英文の取引先契約書・秘密保持契約(NDA)PDF を対訳で読む方法

外国語の取引先契約書や秘密保持契約(NDA)を読むときは、PDF を翻訳し、原文と訳文を並べて読みます。そのうえで短いチェックリストを順にこなします。定義語と、それを使う条項をすべて見つける。条項同士の参照を追う。別紙をすべて開く。当事者名・日付・金額を原文と照合する。訳文は内容を理解し、質問を整理するためのものです。認証翻訳ではなく、法的助言でもありません。締結や交渉の判断は法務部門や弁護士に任せてください。
このチェックリストは誰向けか
弁護士ではないものの、契約書の中身を把握しなければならない人向けです。取引先の条件を確認する購買担当、顧客から NDA を受け取った営業担当、法務に回す前にサービス契約に目を通す業務担当などです。何がどの条項に書いてあるかを把握できれば、相手方や弁護士への質問が具体的になります。
このチェックリストは、条項が自社に有利か不利かは判断しません。何を探し、何を比べるかを示すだけです。
アップロードの前に:社内の秘密保持ルールを確認する
契約書、特に NDA はそれ自体が秘密情報にあたることがあります。オンラインのツールにアップロードする前に、社内の情報管理規程に従ってください。迷ったら上長や法務に確認しましょう。契約内容の第三者への開示を制限している契約もあります。
なぜ対訳で読むのか
契約書は言葉の厳密さで成り立っています。「shall」と「may」、「including」と「limited to」、「and」と「or」の違いで義務の中身が変わることがあります。訳文が自然でも、その違いがぼやけることがあるので、原文はいつでも見られるようにしておきます。結果は左右表示、上下表示、訳文のみでダウンロードできます。契約書の確認には、たいてい左右表示が向いています。設定方法は対訳 PDF の作り方をご覧ください。
定義語はどうたどるか
多くの契約書には冒頭近くに定義条項があり、「秘密情報」「本製品」「本サービス」「効力発生日」「本地域」などが定められています。後の条項でこれらの語(英文では頭文字が大文字)が出てきたら、日常的な意味ではなく定義どおりの意味です。

- 原文から定義語を書き出し、それぞれが定義されている条番号を控えます。
- 各定義語が訳文でどう訳されているかも控えます。同じ語が条項によって違う訳になることがあるので、訳語がそろっていると決めつけないでください。
- 後の条項で定義語が出てきたら、原文の定義に戻り、両方を合わせて読みます。
- 定義条項以外で定義される語にも注意します。別紙の中や、当事者を示す前文で定義されることがあります。
条番号と条項の参照はどう追うか
条項は互いに参照し合います。「第 9.2 条に従い」「第 4 条に定める場合を除き」「前各項の規定にかかわらず」などです。メモには原文の条番号を残し、訳文の参照先が同じ番号を指しているかを一つずつ確かめます。「第 4 条に定める場合を除き」の一文で、その条項の意味が変わることもあるので、参照先を読んでから先に進みましょう。
別紙・付属書・添付資料はどう確認するか
価格、サービスレベル、仕様、納入条件、許可される利用目的の一覧などは、本文ではなく別紙(Schedule、Annex、Appendix、Exhibit)にあることが多いものです。本文で言及されているものはすべて開き、PDF に実際に含まれているかも確認します。

別紙の表は特に注意が必要です。数字、単位、表のセルの確認方法はPDF の訳文を原文と照合する方法にまとめています。別紙を含めて数百ページになる契約書なら、長い PDF を翻訳するコツを参考に作業を分けてください。
原文と照合すべき項目
| 項目 | 主な場所 | 比べること |
|---|---|---|
| 当事者名 | 冒頭、署名欄 | 正式名称、登記番号、住所が原文と一字一句同じか |
| 日付 | 効力発生日、契約期間、通知期間 | すべての日付と期間、日付の書式 |
| 金額 | 価格条項、別紙 | 数字、通貨、税込か税別か |
| 定義語 | 定義条項、別紙 | 使われるたびに定義と合っているか |
| 条項の参照 | 全体 | 条番号が同じ条項を指しているか |
| 準拠法と言語 | たいてい末尾 | どの国の法律か、どの言語版が優先するか |
名称・数字・日付は原文から写し、訳文からは写さないでください。言語版の間で食い違いがあった場合にどれを優先するかを定める契約も多いので、その条項を見つけて覚えておきます。
NDA で探すべき箇所
NDA は短くても中身が詰まっています。次の箇所を原文と訳文のそれぞれで見つけ、並べて比べます。
- 秘密情報の定義と、その範囲。
- 例外。すでに公知の情報や独自に開発した情報など。
- 許可される目的と、情報を受け取れる人の範囲。
- 契約期間と、終了後も秘密保持義務が続く期間。
- 終了時の情報の扱い。返還や破棄など。
それぞれが何条にあるかを書き留めます。その条件を自社が受け入れられるかどうかは法務部門が判断する事項です。
署名欄とフォームフィールドは
訳文の署名ページは読むためのもので、署名には使いません。翻訳後の PDF にはフォームフィールドが残らないため、訳文に入力や署名はできません。署名は社内の通常の手続きで原本に行ってください。契約書が入力可能なフォームの場合は、PDF フォームを翻訳して各項目を確認する方法をご覧ください。
スキャンや写真の契約書は
締結済みの契約書はスキャンされていることがよくあります。スキャンや写真を翻訳するには、Google またはメールリンクでサインインし、アカウント認証を完了してください。翻訳前に文字を認識しますが、誤読や読み落としが起きることがあるため、名称、数字、日付、条番号はページ画像と照らし合わせてください。手書きの書き込みや印影は、ページ画像をご自身で確認してください。
限界は何か
- 認証翻訳ではありません。認証翻訳や公的な翻訳が求められる場面の代わりにはなりません。
- 法的助言ではなく、条項が有利か、リスクがあるかの評価もしません。
- レイアウトはできる限り保持されますが、長い条項は改行位置が変わることがあります。
- ロゴや印影など、画像内の文字は翻訳されません。
- フォームフィールドは残らないため、訳文に入力や署名はできません。
よくある質問
訳文をもとに契約を締結してもよいですか?
訳文は内容の理解と質問の準備に使ってください。署名するのは原文です。法的な影響がある判断は、法務部門や弁護士に相談してください。
翻訳した契約書は認証翻訳になりますか?
なりません。裁判所や官公庁、相手方から認証翻訳を求められた場合は、資格のある翻訳者に依頼してください。
どの言語版が正本になりますか?
契約書の末尾近く、言語や解釈に関する条項に書かれていることが多いので、原文で確認してください。
NDA をアップロードしても大丈夫ですか?
まず社内の情報管理規程を確認し、迷ったら法務に相談してください。
外国語の契約書が手元にありますか?PDF を iSomor にアップロードして左右表示でダウンロードし、チェックリストを一通り済ませてから弁護士に回しましょう。